「風俗営業許可って、性風俗店の許可なんですか?」
このような質問は非常によく寄せられますが、実はまったく別の制度です。
この記事では、「風俗営業許可」と「性風俗関連特殊営業」との違いを、法律・行政手続き・実務の観点からやさしく整理します。
結論:「風俗営業許可」は性風俗とは無関係です
「風俗営業」という言葉はやや誤解を招きやすいのですが、
法的には性的サービスを提供する業種(いわゆる性風俗)とはまったく異なるカテゴリに分類されます。
「風俗営業」の意味と対象業種
● 根拠法令
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風営法)
この法律では、以下のような業種が「風俗営業」として規定されています。
区分 | 業種例 | 主な特徴 |
---|---|---|
第1号営業 | キャバクラ、ホストクラブ、ラウンジなど | 接待行為(お酌・談笑・隣に座る)あり |
第2号営業 | クラブ、ダンスホール等 | 客にダンスをさせる場所を提供 |
第5号営業 | パチンコ、マージャン店 | 特定の遊技設備を使わせる営業 |
第6号営業 | ゲームセンター(深夜営業) | 午前0時以降も営業する施設 |
▶ これらは、風営法第2条第1項に基づき「風俗営業」とされますが、性的サービスの提供とは無関係です。
「性風俗関連特殊営業」とは?
これは風営法第2条第5項に定義されており、
- ソープランド
- デリヘル
- ファッションヘルス
- アダルトショップ
- アダルト映像配信業
など、性的なサービスや商品を扱う業態が該当します。
▶ こちらは「性風俗関連特殊営業」として、別の届出制度で管理されます。
「風俗営業許可」と「性風俗営業届出」の違い
項目 | 風俗営業許可 | 性風俗関連特殊営業 |
法的分類 | 風営法第2条第1項 | 風営法第2条第5項 |
代表業種 | キャバクラ、クラブ、麻雀店など | デリヘル、ソープ、アダルト関連など |
手続き | 許可制(審査あり) | 届出制(条件あり) |
所轄 | 警察署・公安委員会 | 警察署・公安委員会 |
特徴 | 接待や遊技・ダンスを提供 | 性的サービスまたは商品提供 |
性風俗関連営業は「届出」でできるのか?
法律上は、性風俗関連特殊営業は届出を行えば営業可能とされています。
しかし現実には──
新規参入が極めて困難な理由
- 【営業可能地域がない】
- 多くの市町村で「営業禁止区域」を設定
- 商業地や繁華街でも事実上排除されている
- 【建物構造の制限】
- 共同住宅やテナントビルではほぼ不可
- 【行政運用が実質“新規排除”】
- 届出書類は受理されても、その後の指導や近隣トラブルの懸念
結果、制度上は可能でも、実務上は“限りなく難しい”のが実態です。
◆ まとめ
- 「風俗営業許可」と「性風俗営業届出」は完全に別物
- 風俗営業=接待やダンス、遊技を提供する通常の営業
- 性風俗営業=性的サービスを提供する特殊な業種
- 新規で性風俗に参入するには、営業区域・建物・地元対応すべての要件を満たす必要がある
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