「許可」と「届出」はどう違う?

〜行政手続きでよく出てくる2つの言葉を、わかりやすく解説〜

「この営業は“許可”がいるのか、“届出”でいいのか?」

行政書士として開業相談を受けていると、必ず出てくるこの質問。
言葉としては似ていますが、実は両者には大きな違いがあります。

このブログでは、「許可」と「届出」の定義や、手続きの重さ・審査の有無・実務上の違いなどを、具体例を交えて整理します。


◆ 許可と届出の根本的な違い

比較項目 許可(きょか) 届出(とどけで)
意味 本来は禁止されている行為を、特別に認める すでに認められている行為を、事前・事後に報告する
審査の有無 あり(要件を満たさないと不許可) 原則なし(形式確認のみ)
行政側の関与 強い(裁量あり) 弱い(形式確認のみ)
実務の重さ 重い(準備書類多数・時間がかかる) 比較的軽い(形式的な確認)
飲食店営業許可、風俗営業許可、建設業許可 古物営業届出、性風俗特殊営業届出、法人設立届出

◆ 具体例で理解する「許可と届出」

飲食店を開く場合

  • 飲食店営業許可(保健所) → 許可が下りるまで営業できない
    • 検査・図面確認・設備基準の審査あり

古物商として営業する場合

  • 古物営業届出(警察署) → 届出すれば営業可能(ただし営業制限あり)
    • 申請者の素行歴や欠格事由のチェックはあるが、審査というよりも「確認」に近い

性風俗関連特殊営業

  • 届出制だが、要件が厳しく、営業できる区域も制限
    • 書類の受理=営業可能、だが実務上のハードルは高い

◆ 「許可」はあくまで“例外的に認めるもの”

  • 「原則として禁止されているけれど、条件を満たしたら特別に認める」
  • だからこそ、審査・基準・要件が厳格

たとえば「風俗営業許可」や「医療機関の開設許可」などは、 社会的影響も大きいため、許可の取得には厳格な基準と警察・自治体の判断が必要です。


◆ 「届出」は“報告義務”に近い

  • 原則的には自由にできる行為を、行政に「事実として報告する」手続き
  • 届出を怠ると、無届営業として罰則の対象になることもある

たとえば、会社設立後の「法人設立届出(税務署)」なども届出制です。


◆ 行政書士がサポートできる範囲

種別 業務例 対応内容
許可申請 飲食店・建設業・風俗営業・医療法人など 申請書類、図面、要件確認、行政対応
届出支援 古物商・性風俗特殊営業・会社設立・外国人雇用 書類作成、添付資料、届出代理提出

◆ まとめ

  • 「許可」は“原則NG”を“例外的にOK”にする制度 → 審査あり・ハードル高
  • 「届出」は“報告手続き” → 審査なし・比較的簡易
  • しかし、届出でも不備や虚偽があれば行政指導・罰則の対象になることもある

開業や営業変更の際には、まず自分が必要とするのが「許可」か「届出」かを見極めることが重要です。


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