最終更新:2025-08-04
「どれが“許可”で、どれが“届出”?」——実務で混同しがちな“警察(都道府県公安委員会)”所管の手続きを、行政書士の視点で整理しました。手数料や提出先は地域で異なる場合があるため、実際の申請時は所轄警察署で最新情報をご確認ください。
1. 古物商・古物市場主(古物営業法)
手続の種類:許可(主たる営業所/市場ごと)
所管:都道府県公安委員会(提出先:営業所所在地を管轄する警察署・生活安全/防犯担当)
ポイント:
- ネット販売等の非対面取引の本人確認や、**ウェブ上の表示義務(公安委員会名・許可番号・氏名/名称)**に注意。
- 申請後は審査(欠格事由、営業所要件など)。
2. 質屋(質屋営業法)
手続の種類:許可(営業所ごと)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署・生活安全課)
ポイント:
- 質物の保管設備が必須。
- 審査期間は概ね1〜2か月が目安(地域差あり)。
3. 風俗営業・特定遊興飲食店・性風俗関連特殊営業・深夜酒類提供
根拠法:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる風営法)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署・生活安全課)
手続:
- 風俗営業許可(業種区分あり)
- 特定遊興飲食店営業の許可
- 性風俗関連特殊営業の届出
- 深夜酒類提供飲食店営業の届出(営業開始10日前までが通例) ポイント:
- 用途地域・保全対象施設からの距離、騒音・照度、構造設備基準等の適合確認が必須。
- 図面作成、周辺調査、保健所許可との工程調整が実務の肝。
4. 自動車運転代行業(道路交通法)
手続の種類:認定(主たる営業所ごと)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署)
ポイント:
- 車両要件、任意保険(代行保険)の付保、標章・標識の掲示、変更届・廃止届の管理が必要。
5. 探偵業(探偵業の業務の適正化に関する法律)
手続の種類:届出(事業開始の前日まで)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署)
ポイント:
- 事務所ごとに届出。標識の掲示、契約書面の交付、従業者の教育義務等。
6. 警備業(警備業法)
手続の種類:認定(主たる営業所ごと/5年更新)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署・生活安全課)
ポイント:
- 警備員指導教育責任者の選任、欠格事由の確認。
- 2024年改正で認定証は廃止、営業所・ウェブサイトでの標識掲示が義務化。
7. 銃砲・クロスボウの所持許可(銃砲刀剣類所持等取締法)
手続の種類:許可(住所地管轄)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署・生活安全課/保安担当)
ポイント:
- 初心者講習、技能講習、身分・経歴・診断書等の厳格審査、保管設備の確認。
- **クロスボウ(ボウガン)**は原則許可制。
- **電磁石銃(コイルガン)**は2025/9/1以降、所持許可などの措置がないままの所持は違法。
8. 道路使用許可(道路交通法)
手続の種類:許可(工事・作業/イベント・宣伝・撮影 等)
所管:警察署長(場所を管轄する警察署・交通規制係)
ポイント:
- 1行為1申請が原則。
- ルート図・警備計画・誘導計画等を準備。**道路占用許可(道路管理者)**が別途必要な場合あり。
- 手数料は区分あり(例:東京都)。
9. 安全運転管理者・副安全運転管理者の選任届(道路交通法)
手続の種類:届出(選任から15日以内)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署・交通課)
選任基準(概要):
- 安全運転管理者:自動車5台以上(又は乗車定員11人以上1台)を使用する事業所ごとに1名。
- 副安全運転管理者:20台以上で台数に応じて追加選任。
ポイント: - 点呼・酒気帯び確認・記録保存・教育など日常運用が重要。変更時も届出。
10. インターネット異性紹介事業(出会い系サイト規制法)
手続の種類:届出(事業開始の前日まで)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署)
ポイント:
- 年齢確認、広告規制、事業変更・廃止の届出。未届は違法。
- 併せて**電気通信事業の届出(総務省)**が必要なケースあり。
11. 金属くず関係(各都道府県条例 等)
手続の種類:許可/届出(制度・名称は地域により異なる)
所管:都道府県公安委員会(提出先:警察署)
ポイント:
- 取引記録・標識掲示・本人確認・行商人証などの義務(条例で細部が異なる)。
- 2025年に**「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」**が公布。今後、特定金属くず買受業の届出制度が全国で導入予定(施行日は政令で指定)。
12. 青色防犯パトロール(青色回転灯装着車両の証明)
手続の種類:警察本部長の証明(団体単位)
所管:各都道府県警察本部(申請は警察署・生活安全課)
ポイント:
- 事前に講習受講、標章・実施者証の交付、活動地域の指定。
- 場合により、広報走行等は道路使用許可が必要。
よくある質問(抜粋)
Q. 風営法の「許可」と深夜酒類提供の「届出」は何が違う?
A. 構造設備・人の配置など厳格な審査を受けて許可が必要な業種(例:接待飲食店、ゲームセンター等)と、深夜0時以降に酒類を提供する届出制の飲食店があります。営業形態により該当が分かれるため、事前相談が安全です。
Q. ネットで中古品を売るだけでも古物商許可は要る?
A. 反復継続して古物(中古品等)を仕入れて販売する場合、対面・非対面を問わず許可が必要です。フリマアプリ・ECサイト利用でも本人確認・表示義務が課されます。
Q. 会社で車を5台超えたらどうする?
A. 安全運転管理者の選任と**届出(15日以内)**が必要です。20台以上なら副安全運転管理者も。
サポートの流れ(例)
- 事前ヒアリング(業態・立地・人員・車両・サイト運用 等)
- 要件判定・スケジュール設計(保健所や道路管理者手続の並行調整を含む)
- 図面・誓約書・各種添付資料の作成
- 所轄との事前相談・申請/届出・補正対応
- 標識掲示・表示義務・運用体制の整備
それぞれの制度は地域差と最新の改正が多い分野です。まずは「やりたいこと」を平易な言葉で教えてください。要件の当てはめから、無理のない進め方までご一緒します。