はじめに
「自分には大した財産がないから、遺言書なんて必要ない」
「家族仲が良いから、揉めることはないと思う」
このように考えて、遺言書の作成を後回しにしている方は少なくありません。
しかし実際には、遺言書がなかったことで相続が複雑化したり、家族間の争いが起きてしまうケースは決して珍しくありません。
この記事では、
「遺言書は本当に必要なのか?」
という疑問に対して、法的・実務的な観点から解説します。
遺言書がある場合とない場合の違い
遺言書があると、故人の意志に基づいて遺産分割が進められます。
一方で遺言書がないと、法定相続人全員による「遺産分割協議」が必要となります。
【遺言書がある場合】
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誰にどの財産をどのように渡すかを自分で決められる
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相続人の間で協議をする必要がない(基本的に遺言どおりに分ける)
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相続手続きが比較的スムーズ
【遺言書がない場合】
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法定相続人全員による話し合いが必須
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一人でも反対者がいれば手続きが進まない
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仲の良い家族でも意見の対立が起こることがある
遺言書が必要となる典型的なケース
以下のようなケースでは、遺言書がほぼ必須といっても過言ではありません。
1. 子どもがいない夫婦
→ 配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹で相続することになります
→ 兄弟姉妹との関係が疎遠・不明な場合、配偶者に財産を残すには遺言が必要です
2. 前妻(夫)との間に子がいる
→ すべての子どもに相続権があります(異母・異父兄弟含む)
→ 現在の家族とのトラブルを避けるためにも、分配方針を明記するべきです
3. 事実婚・内縁関係にある
→ 内縁の配偶者には法定相続権がありません
→ 遺言がなければ、一切相続できない可能性があります
4. 特定の人に多く財産を残したい
→ 法定相続分と異なる分け方をしたい場合は、遺言で明確に指定する必要があります
5. 相続人がいない
→ 遺言がなければ、最終的に財産は国庫に帰属します
→ 信頼する友人や団体に寄付したい場合は遺言が必要です
財産が少なくてもトラブルになる時代
「家は古いし、預金も大した額じゃないから」と思っていても、
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不動産の名義変更
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銀行口座の解約
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相続人同士の取り分への不満
こうした小さな火種から感情的な対立に発展するケースが増えています。
実務では、100万円の預金を巡って訴訟に発展した例も実際にあります。
遺言書を作ることで得られる3つの安心
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自分の意志を確実に反映できる
→ 誰に何を託したいかを明確にできる -
家族間のトラブルを未然に防げる
→ 感情的なもめごとを避けられる -
手続きがスムーズに進む
→ 相続人の負担を減らせる
まとめ
遺言書は「資産家だけのもの」ではありません。
むしろ、限られた財産だからこそ、しっかり分け方を決めておくことが家族への思いやりです。
あなたの思いと財産を、きちんと引き継いでもらうために。
人生の整理として、ぜひ一度、遺言書の作成を検討してみてください。
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