遺言書には
「法的効力がある」
と言われますが、それはどの程度の強さを持ち、どこまで通用するものなのでしょうか?
この記事では、遺言書の持つ本来の力と、注意しておきたい“落とし穴”をわかりやすく解説します。
遺言書の効力は“非常に強い”
遺言書は、民法に基づく正式な方式で作成されたものであれば、法的に極めて強い効力を持ちます。
相続人同士でどのような話し合いがなされていても、原則として遺言に書かれた内容が最優先で尊重されます。
遺言書があれば以下のような内容が有効になります
・財産の分配(例:「長男に全財産を相続させる」)
・子どもの認知(たとえば、婚姻外で生まれた子=非嫡出子を「自分の子」として法的に認めることができる)
・相続人の廃除・その取消し(DVなどがあった場合)
・遺言執行者の指定(相続手続きを実行する人)
・特定の団体や第三者への遺贈(例:「〇〇福祉団体に100万円を寄付する」)
これらは、被相続人の「最終意思」として、法的に非常に重く取り扱われます。
ただし、遺言書は“万能”ではない
いかに効力が強いとはいえ、すべてが思い通りになるわけではありません。
以下のような“限界”があることにも注意が必要です。
① 遺留分制度による制約
配偶者や子、親には「最低限の取り分=遺留分」が法律で保障されています。
たとえ「全財産を第三者に相続させる」と書かれていても、一定の相続人から金銭請求(遺留分侵害額請求)を受ける可能性があります。
② 形式不備があると無効
自筆証書遺言では
・本人の署名がない
・日付が書かれていない
・訂正方法に誤りがある
といった形式不備があると、その遺言は無効になります。
>>>>>>>>>>③ 現実に存在しない財産は無効
「○○のマンションを与える」と書いていても、その財産が生前に売却されていた場合、その部分の遺言は実現されません。
④ 法律違反の内容は無効
たとえば
「借金は帳消しとする」
「ある相続人を永久に縛る」
など、法に反する条項は当然に無効となります。
まとめ:遺言書の力と限界を正しく知る
遺言書は、相続人間の協議よりも優先される法的に強力なツールですが、
・遺留分制度による制約
・形式不備による無効
・実現不能な内容 など、“思い通りにならない”場面
も存在します。
だからこそ、法律に適った方法で正しく作成し、
必要に応じて専門家に相談することが将来のトラブル予防につながるのです。
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